ながれあし【流れ足】
喜多六平太『六平太芸談』(1942)
- 70丁度正面の見所を後にして舞つてるんだが、流れ足やそり返りなんかしながら後へ下つてくると、今にも階段の所から白洲へ落ちやしないかと思はせるほどひやひやしたもので、その型の激しさときれいさと相俟つて、見所の入々も覚えず膝を乗出した位だつた。
- 285此間、大阪の朝日会館で致しました折に、舞働で目附柱から、ワキ柱前まで横に足を組み合すやうにしまして、それから流れ足をつかひましたが、あちらでは大変珍らしいと見えまして、お尋ねにになつた方がございますが、私どもの方では、この小書の時はいつもさう致してをります。
- 140よく存じませんが、何でも話にきくと、この弓流、素働の流足をとつて張良の流足となつたものだといふ事を聞いた事があります。
- 126ただ今度の乱は、父の一生、何十度かの乱の内の最高のものではあり得ない。これは腰とか膝とかの強靱さを失つて来た老境の如何とも為し得ないところである。然しただ一歩の乱足、一行の流足だけでも、その無比の絶技を認めることが出来ると思ふ。