なだがえし【灘返】
三宅襄・丸岡大二編『能楽謡曲芸談集』(1940)
- 105金剛返は灘返のことです。ロンギの「灘の汐くむ浮き身ぞ」を常の通にシテとツレが連吟しまして、次に地謡が「灘の汐やく」と地トリのやうに低音でつけます。そして今一度「灘の汐やく浮き身」とシテが今度は独吟するのです。
- 110今度の松風は灘返で舞ひますが、これはロンギのところが平生と違つて来るのです。流儀ではシテとツレの連吟になつてゐるのを、灘返になると、「灘の汐くむ」のところ丈を、シテが独吟して、そして此処へ汐を汲む型が入ります。後の句からは又ツレと連吟になります。この灘返は流儀では久振に出すのです。