はしりこみ【走込ミ】
宝生九郎『謡曲口伝』(1915)
- 27けれども、其曲目によつて、一概に云へないといふのは殺生石の白頭などの様に、幕の内へ走り込むものか、又は橋掛りで留める曲であつたら、後見座に戻つて来るに及ばない、矢張り揚幕を入るのである。
- 16ウけれども、其曲によつて、一概に言へないといふのは、殺生石の白頭などのやうに幕の中へ走り込むものか、又橋掛りで留める曲であつたら、後見座に戻つて来るには及ばず、矢張り揚幕から入るのである。
- 61長糸の伝といふのは、普通の型は長い間糸を繰つてゐないのです、けれど今度のはクセからロンギまで、間にちょつと休むことはありますが、まあ殆んどずうつと続けて永い問繰ります。中入も替つて、一の松でワキを見込み、そして幕の内へ走り込むのです。ロンギの所で少し謡が進みます。後は、出が急進で、手がゝりの早笛で謡ひながら走り出てきます。その後は不断よりずつと早くて、キリの「今まではさしもげに」からグッと静かになり、次に「いふ声はなほすさましく」から又、急に早くなり、シテは走り込みます。今度のは白頭ですが、これが黒頭ですと白より緩急がありません。後なぞも早いまゝで、白頭のやうに途中で静めるやうな所はないのです。
- 132中入のある物では、シテが幕に入りましてから切戸の方へ引きますが、走り込みの時などは次の後見が先に揚幕の方へ行さまして、シテの幕入りを受けます。静かに入る物でも、かげの後見がをりませんければ先に引きまして、同じやうに入るのを受けます。後シテの場合も同じでございまして、やはり幕際から出ます。