近代能楽用語索引Index of Nō-related Terms in Modern Texts

近代芸談における技芸用語

主にシテ方の技芸にかかわる用語の索引。姿勢、視線などの重要と思われるトピックのほか、『能楽大事典』(筑摩書房)に立項される技術用語を対象としました。同表記・別意味の語を別に立項した場合(例:「運び」を歩き方と謡い方で別立項)も、逆に同意味・別表記の語をまとめて立項した場合(例:眼、目、目玉)もあります。

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はしりこみ【走込ミ】

宝生九郎『謡曲口伝』(1915)
  • 27けれども、其曲目によつて、一概に云へないといふのは殺生石の白頭などの様に、幕の内へ走り込むものか、又は橋掛りで留める曲であつたら、後見座に戻つて来るに及ばない、矢張り揚幕を入るのである。
斉藤香村編『謡曲大講座 寶生九郎口傳集 第一』(1934)
  • 16ウけれども、其曲によつて、一概に言へないといふのは、殺生石の白頭などのやうに幕の中へ走り込むものか、又橋掛りで留める曲であつたら、後見座に戻つて来るには及ばず、矢張り揚幕から入るのである。
三宅襄・丸岡大二編『能楽謡曲芸談集』(1940)
  • 61長糸の伝といふのは、普通の型は長い間糸を繰つてゐないのです、けれど今度のはクセからロンギまで、間にちょつと休むことはありますが、まあ殆んどずうつと続けて永い問繰ります。中入も替つて、一の松でワキを見込み、そして幕の内へ走り込むのです。ロンギの所で少し謡が進みます。後は、出が急進で、手がゝりの早笛で謡ひながら走り出てきます。その後は不断よりずつと早くて、キリの「今まではさしもげに」からグッと静かになり、次に「いふ声はなほすさましく」から又、急に早くなり、シテは走り込みます。今度のは白頭ですが、これが黒頭ですと白より緩急がありません。後なぞも早いまゝで、白頭のやうに途中で静めるやうな所はないのです。
梅若万三郎『亀堂閑話』(1938)
  • 132中入のある物では、シテが幕に入りましてから切戸の方へ引きますが、走り込みの時などは次の後見が先に揚幕の方へ行さまして、シテの幕入りを受けます。静かに入る物でも、かげの後見がをりませんければ先に引きまして、同じやうに入るのを受けます。後シテの場合も同じでございまして、やはり幕際から出ます。