唱歌残簡 【凡例】 一、本項には、国立能楽堂蔵『唱歌残簡』(整理番号1―7)を翻刻した。 一、底本を忠実に翻刻することを原則としたが、印刷上の制約、通読の便宜を考慮し、左の方針に従った。   1、改ページは 』で示した。記事が欠落していると思われる箇所は「(欠葉あり)」とした。   2、適宜、句読点をふった。ただし、唱歌は底本のままとし、句読点を補っていない。   3、漢字の異体字や旧字体は通行の字体や新字体に改めることを原則とした。   4、底本は平仮名・片仮名を混用しているので、その別は底本のままとした。唱歌の「り」は「リ」と「里」で表記されているので、前者を片仮名、後者を平仮名にあてた。合字の「ゟ」はそのままとした。   5、本文に傍記される小文字は小さいフォントで示した。挿入と認められる小文字は本文に( )で組み入れた。   6、難読文字や虫損・破損等により文字の判読しがたい箇所で字数のわかるものを□、わからないものを[ ]で示した。推定は下に(…カ)で示した。見せ消チは「―」で示した。   7、能の詞章と認められる部分は「 」に入れた。   8、朱墨の区別はしていない。 一、翻刻は、森田都紀・高桑いづみの二名が分担しておこなった。その下原稿に基づき、山中玲子も含めた三人の輪読で全体の内容を確認し校訂本文を作成した。 【翻刻】      一 脇能之一セイノ笛 初メノ段過てツゞケル所ニて二□(件カ)リ吹也 [ ]ヲ上テゟ/□□□□ 1 一 ひやうひヨうるリやるリりやリ。 ひうやひふら。      ひやりや     リひやう 一□(件カ)リ吹て/まつ也 マクヲ上テゟ [ ]マクヲ上テゟ   ひやうたう〳〵〳〵〳〵ひやうらるいやるい。ひゆひやらひよろい。ひういや   ひうやらりやるリり。ひやいひうやうひうひうい。ひういやらるい   ひういやふら。ひやリうひうらるいやほひやろう〳〵      一 松風ノ一セイノ笛 山ノは音取とも云 イ 打ダス アトシタルカヨシ マクヲ上テゟ 2 一 ひふリ。 ひや。ひういひういやう。        ひよるリ。ひういやう。  ほひやうるリ。 一□(件カ)リ吹て/まつ也 トフクゟ  同断也      ハヤシナシハツヽケてフク。皆何れニても同断也   ツク   ホひリ。 ひたう〳〵〳〵〳〵たらうやるい。たう〳〵いやらゝろい。六ノ下      一 脇能之出羽ノ笛 三段メノだん過てソノマヽ吹也/マクヲ上テゟ 大夫出て候ゟ 3 一 ひよるリやるリりやリ。    ほひやろるらら。         ほひやリやリ。        ひやう 一□(件カ)リ吹て/まつ也 □二□(件カ)リ吹て/まつ也          [          ] ツヾケテ吹也/トテアリ   ひやうたう〳〵〳〵〳〵ひやうらるいやるい。ひういやらひヨろるリやう〳〵。   ひういやリうりやるリり。ひやいひういやうりうひうい。ひういやう   ろるい。ひういやうふら。ひやリうひうらるいや。ほひやろう〳〵      一 僧ノ出羽之笛 やうひよ リヤリ/ツク         カン ヲヒャアロルラヽ 三段メノダン過てゟ/マクヲ上テゟ 大夫出ルヲ見て 4 一 ひよるリやるリり。      ひういやひうら。     ほひやリやリ。    ひやう〳〵たう〳〵〳〵〳〵ひや 』 [ / ] 二□(件カ)リ吹 同段也 (欠葉あり) すて候 5 一 ひやらたゝリ。ひやろリよるろらひういひよるリ      一 そうてうニて松風ノかゝりの うらゟゆりこむ 6 一 ひういひやろらひやるらるらいひよるリ      一 序ノ舞ノ一段ノ手 もみちかりに由 すてる ゆり 7 一 ひやらひうやう。ひやいたんたろひやるらるひういひやうろリ      一 同一段ノ手 すてる モツ 8 一 ひやらひうやう。ひやいひやあらろら。 らるらるらいひやうるリ      一 同一段ノ手 もみちかりニ由 も ツ 9 一 ひやらひうやう。ひやらひやいひや〳〵ひやいひやるい ゆり也      一 同一段ノ手 すてる ゆり 10 一 ひやらひうやう。  ひやいひやるいひやるらるひういひよるリ      一 同一段ノ手 もツ 11 一 ひやらひうやう。ひやら。ひういつろらひうい。ひうやう。ひうるいひやうるリ      一 同一段メの手 とくさノ本手 12 一 ひやらひうやうるらうふろいひよらひや〳〵るい ゆり      一 同一段ノ手 すけよりノ伝 すてる 13 一 ほひやらひういやう。 ひやいひやう〳〵〳〵ひやういやうほひやりひやらろひやるいひよ□リ 』      一 序ノ舞ノ二段ノ手 ゆり 14 一 ひやらたゝリ。ひやいひやらうひやたん〳〵るいひやらる      一 同二段ノ手 ゆり 15 一 ひやらたゝリ。ひやいひやらひや。ひやら。ひやろらたん〳〵るいひやらるい      一 同二段ノ手 松風ノ本ノ手 モツ 16 一 ひやひういひういつろら ゆり      一 ハノ舞ノ手 黒かしらに能候 ゆり 17 一 ひやらたゝリ。ひやいひやろららるら。ひやらるらろ。ひやるいひやらる      一 山うはノ手 18 一 ひやらたゝリ。ひやいひよリりひういやあろひうらろららゝリりうら      一 ハノ舞ノ手 ●   ●  ●●●    ●●  ●●●   ●   ● 19 一 ひやらたゝリ。ひやいひや ら。  ひや  らるリひやらる ゆり      一 黒かしらノ手 モツ 20 一 ひやらほゝひ。ひやいひやひういや ろ ひゆらろららゝリりうらひやひやリひうやらう      一 ハノ舞ノ手 ●   ●  ●●●    ●   ●  ●●● 21 一 ひやらほゝひ。ひやいひや ら。  ひやら る   リひやろ。ひやらる ゆり  』      一 ひやウショ返し カン 22 一 ほひやりやひリやるひうい。ひよりゝ。ひうやひうら。ちやん   〳〵〳〵〳〵ちやらいひうよ。ひやひういヨろひういや。ひゆやツリよ タカく 大夫爰ニてふミとむるならひ也/タカく ヒク 二ツニて打ダスカスツて ヒク 是ゟうちこミ舞也   ひやるひうヨ。ひう りう りう ひや ろるひや。 ひよりひやらろ。 是にてツヽミハをろすならひ也 能々こツヽミかけこへせんにかけよと申合候 ヒク ヒク 二ツ ヒク   ひやるいほ。 ひうやひやら。ひやらひうい。 ひうやひうるい。ひよるリ 又ヒウ リイ/ヽツ ヒヤア/ロルヒヤア/トモ吹也 ヲロス/マイ出ス 打タス      一 かんかゝり もツ 23 一 ひようるひやろるひ。ひやりやりツり〳〵〳〵〳〵やりやらりやるひうい。ひヨ ヒヤアヒウイヨロヒ。ロイ/ヨ   りゝ。ひうやひうら。ひうたう〳〵〳〵〳〵たらいひうやう。 あとハ同前也   □ひやシヨ返しニも如此ニ吹てよし也。□□ならひ申候如此也。 上一 かんノかゝり ツク 24 一 ひやりやらりやるうひうい。ひよりゝりやリツり〳〵〳〵〳〵やらひうやう。 高音ノ吹むすひ ヲロス   ほひやいひういやうろゝるい。ほひやりるら。ひようたらろ。 是ゟ□(舞カ)出ス カン 中□す   ひういや。ひやら。ひやろ。ひうい。ひよるリ         如此ニ吹申候か[  ]直ル候覚申候。 』      一 舞はたらきノ笛 25 一 ひやひやらりうやリうや。ひやリやリひうやらリ。ひやひ。ひうやらリ。ひやろう   リうら。ひやリやリひうやらり。ひやひ。ひうやらリ。ひやろルりうやりうや   りや。ひやリやリ。ひうやらリ。ひやひゆいひよるリ      一 のツとノ笛 ベニサシゟ打ダス 下二ツ 26 一 ひやら〳〵〳〵〳〵らるらゝひういやう。ひやリうひうらるひや。ほひやろう〳〵      一 とをるノからすてノ笛 27 一 ひういやうひういやるらんたらゝひういひういひやうろ□ろい      一 さかりはノ笛 28 一 ひうやら。ひやいとら。ひやらとろい。ひうやら。ひやいひうやう。ひやろら。ひやらららい。   ひやリほう。二段 ひよろるら。ひやいとら。ひやらとろいひうやら。ひやいひうやう。ひやいと   ら。ひやらゝらいひやるほう。三段(ほひリ)ひやいとら。ひやいひうやう。ひやろら。ひやらゝ   らいひやるほう たリうろ      一 乱れノかゝり 但一ツニて二ツノゆきやう 舞 はねる カン 29 一 ひやらリ。  ひうやりツらろ ひやるら モツ   同ひやらリ。ひうやりやりやりツリ      一 同かゝり一ツニて二ツノゆきやう タカネ 中キル 中ノタカネ 30 一 ひや  ひうい。 ひよるリりツらろひやるら  』      一 かクノ手 もツ 31 一 ひやとろらゝ。ひやらつうひういひうりやリやリひやうろリひやらろリひよろ   らるらゝりやるリ      一 かクノ手ノちノかわり もツて引 32 一 ひやとろらゝ。ひやらつうひういひうりやリひやうろリひやろリひよろらる   らゝろ。ひやらリ。ひやろるら      一 かクノ手 ハル 33 一 ひやらいひうやう。ひやろゝひやいひやろ。ひやうろリひゆいひやろ。ひやらリひやるリ      一 かクノ手 但地ノ手 そのま□□ン 34 一 ひやらいひうよう。ひやろゝらるらるら らゝリやる□      一 かクノ手 同地 六の下 35 一 ひやらとろい。ひゆやらるらいひうやう。ひやろゝらるらゝりふ。   リやるリ      一 かクノ手 同地 六ノ下 36 一 ひやらとろい。ひゆやるらるらいひうやう。ひやろゝらるららゝ 引   りふ。りふやるリ  』      一 かくらのかゝり 37 一 ひよるひやろいひやるひういやらリ。ほひやリやリつうリ。ひ〳〵〳〵〳〵やリやらリやリ      一 かくらのかゝり ひたりのハちより 38 一 りツリツりうひやろるひや。らゝらゝらいツららゝ      一 かくらのかゝり みきより 39 一 りツリツりうひやろるひや。ららららいツららゝ      一 かくらノ手 40 一 ひやひやらるらゝつらツいたるららひういひやいツうらゝら      一 かくらノ手 41 一 ひようるらひうやう。ひやらリやらゝリやらリやらゝ、ひやりやらリやらひやいと〳〵ひやるら      一 かくらノ手 42 一 ひやらツららゝ。らゝらゝらららゝうツひやるらるい。ひやらツらゝら      一 かくらノ手 43 一 ひやらいツららゝ。らゝらららろらゝろるうひやるらるい。ひやらいツららゝ      一 かくらノ手 44 一 ひやひうらるらい。ひやらるひやるららいツリツららゝ 45      一 かくらノ手   』 (欠葉あり) ヘニサシゟ打出ス 46 一 ひやうろらひよるリやるリりやリ。ヲヒャアロルラヽ。ヲヒャリヤリ アトゆりよし      一 おきなの舞の吹たらすの吹やう 下二ツゟ吹出し脇能候 一セイノ吹出し はね手 47 一 ひやるろるひよるリやるリ   りやリ。ひやいひういやうらうひうい。ひういやら   るいひうひやふら 出羽とめ      一 しんノ序ノ笛 頭十一 48 一 ひひうりうひほらゝろ。ひやるいひよろ。ひやいほらゝろ。ひやひやらりうらリ。   ひうやらリ。ひやひやリひよら。ひやいほらゝろ。ひうるいひよるリ。ひやいひやらひや。   ひやひやら。ひやらたん〳〵ろ。たん〳〵リや。ひやろら。たん〳〵るいひやろるい。ひやるいひよるリ      一 僧ノしんノ序ノ笛 さし七ツ五ツ三ツ九ツも 49 一 ひひうリう。ひほらゝろ。ひやるいひよろ。ひやいほら□ろ。ひうるいひよるリ。ひやい   ひやらうひや。ひやひやら。ひやらたん〳〵ろたん〳〵リや。ひやろら。たん〳〵るいひやろるい      一 なのりノ笛ノしん 50 一 ひうろるひやひやるほひやほ 一わき能ノ大神ノなのりハぶたいまん中迄出候へてなのる也。又外之 わき能てなき大神ノなのりハシテハシラノサキまて なのる。おとこも僧も同断。ミ合かん用也。      一 同 さうのなのり 51 一 ひやるほひやほ。同 きうの吹やう ひやらゝろい。ひういやう。ひやほ  』 (欠葉あり) 52 一 序ノマイノ手 船弁慶ニ吉。七□。ひやラヒウイヨウ。ヒヤラ ヒヤイヒウイヨウ ホヒリ ヒウイヒヤル ゆり 53 一 「たかさこのうらの」ふうふコテ ひやろルひゆひゆルイヤ ホひやろう〳〵 みわ 二番也 54 一 かきつはたのしらはやし ひやうひよるリヤるリリやリ。ひう 六ノ下也 タカね   いやひうら。ひやう〳〵たう〳〵〳〵〳〵たらうひやうろ。ほひやい 下ゟ 平調   ひよリ。ひやひういやらひういやう。ひゆヤいツリうリうひや ラ ヒウヤ コテ   ろる ひや。ひやリうひうらるいや。ほひやろう〳〵      △ ヒツトリノ序 中ヨリ カンノヒシキ 55 一 ヒヨルリヤヒウイ。ヒヨリリ。ヒウヤヒウヒヤ。ヒウチヤ〳〵〳〵〳〵 ステル ヒヤア ヲヒヤアリルロウ ユリ/マハシテ 是ゟヲロシ   チヤライヒウイヤウ。ホヒヒウ ヒウイヤラルロイ。 フ。 ヒヨラ 指ヲ/おいて チ ホ ヒウヤ シツハリト ヨセテ 大つゝミ/かしら/壱ツ/打也 チ チヽ 懸リ 持ツク トル 大つゝミ トロ ヲヽ   イヒヤラロ。ヒウイ。 ヤアラ 。 ヒ(ア)ヤラ。 ヒヤ ラ。   ヒウイ。  ヒヨル/リ ヲロシ ホ チ ホ チ ホ チョント   ○ヒヤウぜうかかり カンノかゝりも。ヒウヤノ処ニてしつはりとおして吹べし也。 』 (欠葉あり) 56 一 「半日のかくたりしも今身の」 六ノ下一返。「あらあやうしの御事や」 そといろへ。 57 一 「こくうをわたることくなり」 六ノ下一返。「行人ハ思ひもよらぬ御事」 そといろへ。 くり 58 一 「猶々橋のいわれ委御物語候へ」 カンカン。「これすなハち雨のうき橋」たかね一ツ。 59 一 「則橋のとくとかや」 六ノ下一返。「又ゆミヲひけるかたちなり」 コテ一ツ。 60 一 「つねに世界のハなふりテ、しやうちやクきんくこ」 たかね一ツコテヘヲトシテ一返。 61 一 「しハらく待せ給や。やうかうの時節も今いくほとによもすきし」一乱序有                      二大夫中入也。「こしらへ出き候」おきゝ合。さてツヽミ太こかゝりたる                       ミ合。カタヒシキ吹、乱序ニかゝる。追付大夫しゝノ                       おもてニしゝかしらおきてかる〳〵と、シテはしらノ                       ちつとさきにつくはい申候。それヲ見て、笛かた                       ひしきふき、しゝノふへふく也。其内大夫、色〳〵マエノだん                        二度カ                       ノうへゝあかり、さてトメノときハサキノダン□アガリ、又                       マエノダンへもキリヽソリカエリシテ、ダンゟヲリて太コ打ノ方ニつくばひ                       申候。その時トメノふへなり。委ハ良おほへ不申候。   唱歌口伝有也 62 一 「獅子とらテンの舞楽ノみきんの」 髙音ノはねテ一ツ。 63 一 「万歳千秋と舞ヲサメテ、獅子ノ座にコそなをりけれ」たかねヲサヘテ。 トめ  』 64 一 そうくわノ序 ◎ヒヨルリヤヒュイ。ヒヨリヤリツリリ。   リリリヤウ。ヒウヤヒウヒヤ。ヒユタウ〳〵〳〵ヒユイヒ   ウイヨ。ヒヤアラアヒウイヨロ。ルイ。ヲヒヤアリリウロ  』 もツ      一 とくさの二段の手 ひやらほゝひ。ひやいひやあらろ。ら ゆり也。 65 一 此手ハ子ヲミテなく仕舞有時ノ手也。おちくわせんノいゑノ能也。      一 せきてら小町ノ二段メノ手 66 一 ひやらほゝひヨリり ひういやうらる〳〵 ゆり也。 カンノヒシキ 67 一 序の舞ノ序 色々かやう吹くも ひよるリひういひうリり。ひういやひうら。ひうひや〳〵〳〵〳〵 ひしギ たかね もツ   ひやらいひういやう。るらひうひうひやらゝろい。ひやうらひやらろほひ  リ  ひやひうい。ひよるリ      一 早舞ノ手 もつ ● ●あたる 68 一 ホゝひ。ひやいひやあら。ひやひや あ ら   るリひやろひやら ゆり      一 同 手 69 一 ひやらホゝひ。ひやいひやあろららるら。ひやらるらろひやるリひやら ゆり      一 同 手 70 一 ひやらひや〳〵 ひやいひや〳〵るりひやら ゆり      一 同 71 一 ひやらホゝひ。ひやいひやひういやろひうるリうらひやるリひやら ゆり      一序ノ舞ノ手 もちり もつ ツ 72 一 ひやらひういや ひやらひういひやいたるらろひうらる□らろ ひうらるリ  』