シンポジウム「わざ継承の歴史と現在―身体・記譜・共同体」
横山太郎氏が研究代表者を務める公募型共同研究「現代能楽における「型」継承の動態把握―比較演劇的視点から」(2014 年度採択。研究分担者:山中玲子氏・中司由起子氏)は、戦後の能楽の型(身体技芸)継承のあり方とその変化を調査することを目的とするプロジェクトです。能楽の技法伝承のプロセス分析に必要となる理論や調査項目、分析的視点を得るための研究会(「型継承研究会」)が立ち上げられ、2014年7 月から一年をかけて継続的に研究会が催されました。他領域の方法論を学ぶために各分野の専門家を講師に招く形で進められた「型継承研究会」は、毎回刺激と発見に満ちていました。
この研究会の成果を公開するために、2015年9月13日にシンポジウム「わざ継承の歴史と現在―身体・記譜・共同体」をおこないました。研究会の講師陣が参集することで、「わざ」の継承方法の変化や「わざ」そのもののあり方への影響について、横断的な視点に立ち再検証する場となりました。当日の参加者は67 名。
2015年9月13日 於:法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎5 階S505 教室
13:00 ~ 13:15 趣旨説明 横山太郎(跡見学園女子大学文学部)
13:15 ~ 15:25 第一部 記譜と記録メディア
湯浅宣子「ボーシャン=フイエ・システムによる宮廷舞踏の記譜と復元」(バロックダンス実演研究家)
藤田隆則「能楽の実践における手段の目的化──芸道共同体の一般理論にむけて」(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター)
中村美奈子「舞踊記譜法の歴史的展開──ラバノテーションを中心に」(お茶の水女子大学基幹研究院人文科学系)
増田展大「身体鍛錬の歩き方── 20 世紀初頭の身体技法とイメージ」(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
岡田万里子「京舞井上流と祇園女紅場の稽古法」(桜美林大学人文学系)
司会:中司由起子(法政大学能楽研究所)
15:25-15:40 休憩
15:40-17:50 第二部 コミュニケーションと共同体
清水拓野 「中国伝統演劇(秦腔)の俳優養成の歴史について」(関西国際大学教育学部)
西尾久美子「京都花街の人材育成」(京都女子大学現代社会学部)
林容市「スポーツ・体育における運動技術の伝達法」(法政大学文学部)
児玉竜一「歌舞伎における「型」の伝承」(早稲田大学文学部)
柳下惠美「イサドラ・ダンカンの舞踊学校とダンカン舞踊の継承」(早稲田大学文学学術院総合人文科学研究センター)
司会:山中玲子(法政大学能楽研究所)