20160727
茂山家×なごみ狂言会チェコ 東京公演「笑いは国境を越える」
7月27日矢来能楽堂にて、本拠点の主催で「なごみ狂言会チェコ」の公演を開催。ヒーブル・オンジェイ氏が主宰する同会は狂言の規範・技法を重んじ、東欧を中心にこれまで700回以上もの公演実績を有する団体である。チェコ語によって狂言の魅力を広く伝える活動が高い評価を得て、2015年度の第26回催花賞を受賞された。今回の公演は、中欧能楽文化協会をはじめ学内外の有志の方々の寄付も頂戴しての開催であった。師家にあたる狂言方大蔵流茂山家との共演による、当日のプログラムは下記の通り。
挨拶 山中玲子(能楽研究所所長)
解説 ヒーブル・オンジェイ(なごみ狂言会チェコ主宰)
「濯ぎ川」夫:ドスターレク・イゴル、妻:茂山宗彦、姑:ホヴァネツ・ミハル
「呼声」太郎冠者:パヴチーク・トマーシュ、次郎冠者:シュメレク・カレル、主:ヒーブル・オンジェイ
「蝸牛」山伏:茂山宗彦、主:茂山七五三、太郎冠者:茂山逸平
チェコ語と日本語の二カ国語による「濯ぎ川」、チェコ語の「呼声」、日本語の「蝸牛」の三演目を上演。母音の数にまでこだわる徹底ぶりで丁寧にチェコ語に翻訳された狂言のセリフは、チェコ語がまったく分からない筆者の耳にも洗練された舞台言語として心地よく響き、会場は言語の垣根を軽々と越えて、終止あたたかな笑いに包まれていた。参加者190名。
『能楽研究』41号には、ヒーブル・オンジェイ氏による当日の解説を掲載。