野上記念法政大学能楽研究所 能楽の国際・学際的研究拠点 -

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イギリスにて 能ワークショップと講演を開催

本ワークショップと講演等の内容は、能楽研究叢書3 “EXPRESSIONS OF THE INVISIBLE: a comparative study of noh and other theatrical traditions” Edited by Michael Watson and Reiko Yamanaka  に収録されています。
こちら(法政大学学術機関リポジトリ)から

2013年、イギリスのロイヤル・ホロウェイ大学、オクスフォード大学と共催で、能の演技に関わる講演とワークショップ等をそれぞれの大学で開催しました。ワークショップの指導・実演は、能楽師のシテ方観世流馬野正基氏と山中迓晶氏にお願いしました。

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月20日 「能ワークショップ」 於:ロイヤル・ホロウェイ大学
演劇学科の学生20名が能の構エと運ビ、基本的な所作を学んだ後に、仕舞〈熊野クセ〉と〈清経キリ〉に分かれて、能楽師の稽古を受けました。大学には約20年前に作られた稽古用能舞台があるのですが、長らく使用されておらず、今回、久しぶりの使用であるとのことでした。
関健志氏(法政大学デザイン工学部技術員)が能の所作を自由に組み合わせることができるソフト「能コンポーザ」(異分野融合による方法的革新を目指した人文・社会科学研究推進事業「工学的知見の活用による能楽「型付」の記述ルール及び技芸伝承システムの解明」で作成)の操作を紹介しました。
学生たちは先に習った所作をビデオで確認するとともに、コンポーザを操作して各所作を細かく確認するなど、仕舞の復習に活用することができました。能を実際に見る機会の少ない海外で、自由に所作を選び直ちに確認できる「能コンポーザ」はビデオとは違った意味で有効であったようです。

11月21日 “ Noh Workshop: Presentation, Demonstration and Panel Discussion” 於:オクスフォード大学Nissan Institute 、St.Antony’s College
Presentation:山中玲子氏(法政大学能楽研究所教授)の“Expressive Style in Noh: Monologue, Memory and Movements”と題した英語の講演。現在能と夢幻能について概説した後に、能〈葵上〉〈半蔀〉を中心に、人間の「記憶」を扱う夢幻能の手法や、情念の表現方法、それを成り立たせている能役者の所作の特徴について語り、またそのような能の所作の特徴を記述しようとする新しい研究にも触れました。
Demonstration:能の所作と装束、 能とコンテンポラリーダンスの実演
①山中氏が能の所作を説明し、それに合わせて馬野正基氏が実演を披露。会場から募った希望者に、能楽師が装束の説明をしつつ装束付けの実演をしました。小面・十六・般若の能面も希望者に付けてもらい、その視野の狭さや体の感覚を体験しました。
②能とコンテンポラリーダンスの比較実演
1、能楽師による能〈山姥〉の仕舞
2、ロイヤル・タイラー訳〈山姥〉の朗読(Michael・Watson(明治学院大学教授))に合わせて、能楽師の仕舞〈山姥〉
3、英訳〈山姥〉の朗読に合わせたコンテンポラリーダンス(Cecillia ・Macfarlane、Sara・Whatley)
4、〈山姥〉の謡に合わせたコンテンポラリーダンス
→ 関連動画はこちら
Panel Discussion:登壇者 馬野正基、山中迓晶、Cecillia・Macfarlane、Sara ・Whatley、山中玲子
能とダンスの技法には大きな違いがありますが、実演者の立場では、年齢を重ねた際の演目の選択や、余分なものを削ぎ落としていく精神があるなどと共通する見解があるという、興味深い意見もあがりました。女性能楽師や能の伝承にも話が及び、終了後も質問が絶えず、非常に充実した催しとなりました。通訳はワトソン氏。(参加者70名)

11月22日 「成果発表会」Roundtable Discussion ” Moving Movement: Pedagogies for the Transmission of Dance”於:ロイヤル・ホロウェイ大学
Roundtable Discussion:山中玲子氏“An Introduction to Noh: How to Teach/Learn Movements”では、能においては所作単元が連結して舞になること、型付の表記等、能の学び方とその内容を記録する手法について説明しました。解説に合わせた馬野氏の所作の実演付き。
Ashley・ Thorpe(Royal Holloway, University of London)“A Brief Overview of Training in Beijing Opera”は、京劇の身体の基本的な動きや役柄ごとのトレーニングなどの説明。Melissa・ Blanco(Royal Holloway, University of London)は、コンテポラリーダンスにおける動きについて簡単な実演も含めて解説しました。
その後、講演者三名と馬野氏・ワトソン氏を交えて、それぞれの習得法を比較した討論となり、会場からは能の素人とプロの能楽師の稽古、伝承についても質問がありました。
成果発表会:会場を能舞台に移し、20日のワークショップに参加した学生がそれぞれの課題曲を観客の前で披露しました。わずかな稽古時間にもかかわらず、演劇科の学生らしく見事に地謡に合わせて舞いました。能楽師による装束付と実演もおこない、質疑応答でしめくくりました。(参加者40名)



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