活動報告
シンポジウム「曽我兄弟の伝承と能―歴史・物語・芸能―」
能楽学会と共催で2019年度研究大会において、シンポジウム「曽我兄弟の伝承と能―歴史・物語・芸能―」を以下の通り、開催しました。
日時:2021年3月13日(土)13:10〜17:20
オンライン 参加113名
「曽我物の能―史実・文学との距離」坂井孝一(創価大学)
「『曽我物語』改作の指向―真名本・仮名本―」小井土守敏(大妻女子大学)
「舞う身体としての曽我兄弟―幸若舞曲との比較から―」伊海孝充(法政大学)
「『曽我物語』と曽我物の能」竹本幹夫(早稲田大学)
全体討議:坂井孝一・小井土守敏・伊海孝充・竹本幹夫・表きよし氏(司会)
最初の坂井孝一氏(創価大学教授)「曽我物の能―史実・文学との距離」は、中世史研究の立場から能〈調伏曽我〉と〈元服曽我〉について、箱根権現の別当と北条時政に着目しながら史実・『曽我物語』・能への展開と関係を解き明かされました。次は中世軍記研究の領域から小井土守敏氏(大妻女子大学教授)にご登壇いただき、「『曽我物語』改作の指向―真名本・仮名本―」と題して、『曽我物語』真名本、仮名本の各諸本の異同をふまえ能〈伏木曽我〉等との比較分析がなされました。伊海孝充氏(法政大学教授)「舞う身体としての曽我兄弟―幸若舞曲との比較から―」は、能と幸若舞曲の曽我物・判官物の各作品の特質をおさえ、両芸能の舞の趣向を考察したもの。最後の竹本幹夫氏(早稲田大学名誉教授)「『曽我物語』と曽我物の能」は、能の曽我物の成立背景、『曽我物語』との関係、作者宮増にふれられました。オンラインでの開催でしたが、全体討議では活発な意見が交わされました。登壇者の講演を文章化したものが、能楽学会『能と狂言』19号に掲載されています。