危機と能楽―いかに受け止め乗り越えてきたか―
能楽は六百年以上の歴史を誇る、日本の代表的な古典芸能のひとつです。しかし、その道のりは常に平坦だったわけではありません。長い歴史の中で、能楽は災害や戦争といった様々な危機に直面し、また、社会の変革期も経験してきました。昨今の能楽を取り巻く環境もまた、危機的な状況にあります。新型コロナウィルスによる公演中止、お稽古人口の減少、慢性的な後継者不足。能楽はこれらの危機とどう向き合い、その危機をいかにして乗り越えてきたのでしょうか。法政大学能楽研究所では、創立七十周年を記念して、「危機と能楽」をテーマに HOSEI ミュージアム特別展示、シンポジウム、ワークショップ、能楽研究叢書の刊行をおこないました。
【能楽研究所創立70周年記念 HOSEIミュージアム特別展「危機と能楽―いかに受け止め乗り越えてきたか―」】
Museum Core 会場❶ 九段北校舎1階
|会期|2022 年 9 月 1 日~2023 年 1 月 31 日 |開館時間|10:00~17:00(最終入場 16:30)
|休館日|日曜・月曜・12/26~1/9, 1/14、但し 9/11・19, 10/2・10, 11/6 は開室
展示全体を紹介する映像を常時上映、市ヶ谷キャンパスの周辺にある靖国神社の能舞台、東京都の有形文化財に指定されている矢来能楽堂などを含めた周辺地図を掲示。市ヶ谷キャンパスを中心に能楽の過去・現在を見渡しました。
博物館展示室 会場❷ ボアソナード・タワー14階
|会期|2022 年 9 月 1 日~9 月 30 日 |開館時間|10:00~17:00
|休館日|日曜・月曜。但し 9/11・19 は開室
能楽の危機に関わる歴史的な資料を「自然災害と能楽」「疫病と能楽」「戦争と能楽」のテーマ別に展示しました。
Museum Satellite 会場❸ ボアソナード・タワー26階・会場❹ 外濠校舎6階
|会期|2022 年 9 月 1 日~10 月 19 日 |開館時間|10:00~17:00
|休館日|日曜・月曜、但し 9/4・11・19, 10/2・3・10 は開室
会場③東京の能楽堂が、関東大震災や東京大空襲を経てどのように変遷したのか、地図とパネル展示でたどりました。震災や空襲を経験した能楽師の談話も同じくパネルで紹介。
会場④現代の能楽が直面したコロナ禍に焦点を当て、この未曾有の危機が能楽にどのような影響を与え、また能役者がそこにどう向き合ったかを示しました。実際に舞台で用いられた感染対策用の覆面なども展示。
【シンポジウム「「危機と能楽―いかに受け止め乗り越えてきたか―」】
日 時:2022年9月19日(月・祝)10:00~12:00
場 所:法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー26階 スカイホール
10:00~10:05 趣旨説明 山中玲子
10:05~10:40 「「危機」が能楽に何をもたらしたか」 宮本圭造
10:40~11:20 「戦争・古典・芸能の80年」 日置貴之(明治大学)
11:20~12:00 対談「コロナ禍の能楽」観世喜正(観世流シテ方)・山中玲子
参加者:50名
【ワークショップ】
矢来能楽堂観世九皐会より観世喜正氏・永島充氏をお招きしてワークショップを開催しました。
日 時:2022年9月16日(金)
1回目:13:30~14:30 学内留学生等
2回目:15:30~16:30 一般参加
場 所:法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー26階 スカイホール
プログラム
(1)「能」ってなんだろう?
(2)いろいろな能面と装束
(3)着付の様子を見てみよう
(4)ちょっと動いてみよう
参加者:70名