能楽演目とポップカルチャーとの相互影響に関する研究(2023年度より継続)
- 研究代表者:植朗子(神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート(Promis)協力研究員)
- 研究分担者:マガリ・ビューニュ(帝京大学外国語学部国際日本学科講師)
- 研究分担者:鈴村裕輔(名城大学外国語学部准教授)
【研究目的】
本研究では「能 狂言『鬼滅の刃』」を研究対象とし、この作品における①古典演目からの影響関係の解明と、②新しく取り入れられたポップカルチャー要素の分析をおこなう。2022年に上演された「能 狂言『鬼滅の刃』」に対する評価の高さは、原作であるマンガ『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴、集英社、2016-2020)のブームに単純に依拠しているだけではなかった。能楽固有の表現が、『鬼滅の刃』における異形たちの悲哀をすくい上げ、新たな視点をもたらすのだということを、ふだん能に触れることが少ない層にも知らしめるものだった。この共同研究では「能 狂言『鬼滅の刃』」を研究対象とし、台本制作者である木ノ下裕一、演出担当の野村萬斎、さらには能役者たちが、『鬼滅の刃』の世界観を能楽に翻案するために用いた技法に焦点をあて、伝統的な能楽の演目と比較し、共通点・妥協点・革新性という3つの角度から分析する。そして、マンガというメディアを典拠とする「新作能」の可能性を探求することを目的とする。なお2024 年度には、比較対象として舞台『鬼滅の刃』の演出との比較も新たに行う。