『洋々集』からみる謡の作曲と演出(2025年度)
- 研究代表者:藤田隆則(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター教授)
- 研究分担者:高橋葉子(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター客員研究員)
- 研究分担者:丹羽幸江(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター客員研究員)
- 研究分担者:坂東愛子(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター共同研究員)
- 研究協力者:荒野愛子(神戸女子大学大学院文学研究科博士後期課程)
- 研究協力者:島田和俊(法政大学能楽研究所研究補助員)
【研究目的】
鴻山文庫におさめられている『洋々集』は、幕末のシテ方の役者である梅若満寿によって記された、謡の地拍子(謡を8拍子に合わせる規則)にかんする研究書である。謡の1句1句がもっている様々な拍子のかたちを、網羅的にとりあげ、体系的に分類し、解説をくわえた研究書であり、明治の後期から盛んにおこなわれた体系的な地拍子研究の、先駆けとみることができる書物である。
研究代表者らは、過去3年間の共同研究において『洋々集』を読み、上中下巻にわたって例としてとりあげられているおよそ1300の謡の句を、とりあげられた前後の部分も含めながら、八割に書き写す作業を行い、すでにその作業を完了させている。必要におうじて、現行の梅若流謡本や他流の謡本とも対照させ、異同をも明らかにしている。2024年度には、『洋々集』に取り上げられた1300の謡の句を、曲ごと・小段ごとに分類し、出現頻度を明らかにした。また、もっとも頻出するクセに焦点をあてて、『洋々集』がクセのどの部分に言及しているかを明らかにした。
2025年度は、研究の最終年度となる。『洋々集』の全体をウェブサイト上に公開すること、論考の執筆に向けた研究発表の2つが、本研究がめざすところである。
【2025年度 成果】
- 口頭発表 高橋葉子・荒野愛子・藤田隆則「ひとつの謡を様々に節付けするー江戸時代の能役者、岩井直恒による試み」(伝音セミナー(市民公開イベント)、2025年7月24日(木)、京都市立芸術大学)
- 口頭発表 荒野愛子「小段分析を通じて作品を見る—能《芭蕉》を例に」(楽劇学会例会「能楽の音曲形式と演劇」、2026年2月24日(火)18-20時)
- 論文 荒野愛子 「音曲からみる物狂能の構成と展開—「道行」「クルイ」編」 『神戸女子大学古典芸能研究センター紀要』(19号, 13-29頁, 2025年6月)
2025年度は、洋々集研究の最終年度として、洋々集の本文、および譜例のアップロードに向けた校訂作業に専念した。そのほかに上記の業績がある。これらは『洋々集』を直接対象にしたものではないが、地拍子の解釈などに本研究(『洋々集』読解)の成果がくみこまれている。
