野上記念法政大学能楽研究所 能楽の国際・学際的研究拠点 -

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「謡曲引歌索引」の整理拡充 ―謡曲の和歌・連歌摂取事例に関する俯瞰的把握に向けて―(2025年度)

  • 研究代表者:中野顕正(鶴見大学文学部准教授)
  • 研究分担者:浅井美峰(大阪大学大学院人文学研究科准教授)
  • 研究分担者:川上一(国文学研究資料館研究部准教授)
  • 研究協力者:沼田晴香(慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程)

【研究目的】

 謡曲は、前時代・同時代に存在していた様々なジャンルの文芸や文化事象を縦横無尽に摂取することで成立している。従って、謡曲詞章を注釈的に読解分析し、その内容を適切に把握する上では、それらの様々な文芸や文化事象についての知識・知見を援用する必要がある。しかし、謡曲の前提となった諸文芸の中でも特に和歌・連歌研究の領域は、他分野の研究者に介在の余地を与えないほどに独自の体系が出来上がってしまっており、ジャンルを超えた室町期文芸同士の相互理解は従来難しいものであったと言わざるを得ない。かかる問題意識のもと、謡曲・和歌・連歌のそれぞれの研究者が互いに知識・知見を共有することにより、謡曲詞章のうち和歌・連歌方面に由来する表現の注釈的分析を行うための環境を整備することが、本研究の目的である。
 上記の目的に基づき、本課題の代表者・分担者の三名は、既に2019年度共同研究「謡曲における和歌・連歌表現の用例データベース構築」(代表:川上一)、2020~21年度共同研究「和歌・連歌との比較を通した謡曲修辞技法の学際的研究」(代表:浅井美峰)、2022年度共同研究「世阿弥脇能を中心とした謡曲詞章の和歌・連歌的研究手法に基づく表現分析」(代表:中野顕正)、2023~24年度「「新纂謡曲引歌考」の作成と謡曲における歌枕摂取の研究」において研究を重ねてきた。その成果として、謡曲における引歌(先行注釈書等に指摘のある参考歌を含む)を網羅した「謡曲引歌索引」の暫定版データベースを、2025年3月に公開した。
 但しこの暫定版データベースは、当面の措置として、概ね佐成謙太郎「謡曲引歌考」(『謡曲大観』首巻)に基づき、そこへ新潮日本古典集成『謡曲集』等に拠りながら部分修正を加えたものであり、底本の不統一、本文異同や他出状況の未調査など、修正すべき課題は多い。2025年3月に暫定版データベースとして仮公開に至ったのは、2024年度の成果報告書にも記した通り、「完璧を期して徒らに成果データを死蔵してしまうよりは、不完全な形であってもまずは暫定版として仮公開し、研究の手がかりとして広く活用されることが望ましい」と考えたからである。このデータベースについて、内容をより正確なものへと更新し、また現状の暫定版には含まれていない新たな情報(例えば歌人名、歌題など)を増補拡充することで、より有益な研究データを提供することが、本共同研究の目的である。
 なお、本共同研究の前身となった前年度以前の共同研究では、「謡曲引歌索引」の作成とともに、謡曲(特に道行謡)における歌枕利用の注釈的検討をも研究テーマとして設定していた。しかし、研究基盤の構築・提供に直接的に寄与する「謡曲引歌索引」の構築を優先させたため、歌枕利用研究については中断することとなった。このたび「謡曲引歌索引」が暫定版とはいえ完成したことを受け、そこから派生させる形で、謡曲(特に道行謡)の歌枕利用についても、索引データベースのようなものを今後構築してゆきたいと考えている。その構築に向けた準備も、併せて進めてゆきたいと考えている。

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