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能の「ことば」オンラインリソース集

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梗概

身売(みうり)

① 越後国神原の港に住む男が、父の十三回忌と母の七回忌を迎え、弟の小次郎と相談をしようと思い、弟を呼ぶ。
② 兄弟は貧しさゆえに供養の手立てがなく、侘しい身の上を嘆き合う。
③ 兄は、人を売り買いする筑紫船の船頭に我が身を打って、供養の費用にしようと思い立つ。船頭に金を借りに行くと偽り、弟を寺へ導師を呼びに向かわせる。
④ 港に着いた兄は船頭に声を掛ける。船頭に問われ、三十余りの年齢で、弓矢の細工や馬の扱いもできる者を売ると答える。値の交渉になると、兄は両親の供養のために自分の身を売ることを船頭に明かし、船頭は高値で兄を買う。船頭は兄に三日の暇を与えるが、風が変わった場合はすぐにも連れていくと言う。船頭と約束をした兄は家へと帰る。
⑤ 兄が帰宅すると、弟は導師を連れて帰っていた。兄弟は諷誦文を捧げ、導師が読み上げると集まった人々も涙にくれる。
⑥ 翌日、船頭が兄を連れて行こうと家にやってくるが、まだ説法が続いていた。同情しつつも船頭は風が追手になったと言う。兄は明日までの暇を願うが、船頭は頑なに断る。あきらめた兄は船頭に従い、家を出ようとする。すると船頭が心を和らげ明日までの暇を与える。
⑦ 弟は、説法の半ばで場を離れた兄を不審に思い問いただす。兄は何気なく振舞い説法の席に戻る。やがて説法が終わり、導師が高座を降りると聴衆は一度に立ち上がる。その群衆に紛れて船頭が兄を連れて行く。
⑧ すると弟が船頭に近づき声を上げる。兄は弟の短慮をいさめ、自らの身を売ったことを告げる。
⑨ 弟は兄のおこないを非難するが、兄は父と母の恩を解く。弟は、妻子のいる兄の代わりになると言い、二人は言い争う。やがて出港の時刻となるが、お互いを思う兄弟は言い合いを続け、かつての華やかな暮らしと、今の境遇を嘆く。
⑩ 二人の様子を見ていた船頭は心を動かされ、兄を連れていくことをやめ、身代を兄弟に与えたままで、帆を上げ船出をする。兄弟は船に向かって手を合わせて感謝するのであった。