野上記念法政大学能楽研究所 能楽の国際・学際的研究拠点 -

  • トップ
  • 研究会等のお知らせ
  • 拠点概要
  • 研究プロジェクト活動報告
  • 各年度 研究成果一覧
  • 研究会・セミナーの記録
  • 能楽資料デジタルアーカイブ
  • データベース
  • 研究資源
  • 研究活動動画アーカイブ
  • 刊行物
  • 研究日録(Facebook)
  • アクセス
  • リンク
  • English

江戸時代初期の武家社会における能楽と漢文化・書物文化との関係――狂言伝書『わらんべ草』を中心に(2026~2028年度)

  • 研究代表者:重田みち(同志社大学宮廷文化研究センター嘱託研究員)
  • 研究分担者:伊海孝充(法政大学文学部教授)
  • 研究協力者:古勝隆一(京都大学人文科学研究所教授)
  • 研究協力者:楊維公(京都大学人文科学研究所助教)
  • 研究協力者:王孫涵之(長野県立大学グローバルマネジメント学部専任講師)

 

【研究目的】

 本研究は、江戸時代初期に大蔵虎明が編んだ狂言伝書『わらんべ草』を主たる資料として、その本文研究を進めるとともに、室町時代から江戸時代にかけての中国文献(漢籍)を中心とする学問・書物文化と能楽との関係、ならびに江戸幕府周辺の社会における能楽の位置付けについて、国際的・学際的に研究するものである。
 『わらんべ草』は、1960-1970年代に笹野堅氏・米倉利昭氏・池田広司氏等により翻刻や資料研究・内容考察が行われ、一定の成果を得た。その後も複数の輪読研究会が行われるなど関心が保たれている。しかし同伝書には中国文献(漢籍)に基づく説を多々引用・参照する大きな特色があり、一般的な能楽研究者の研究領域を超え限界があったことから、漢籍関連の説の典故の解明は一部にとどまり、それらの解明と関連考察の余地を大きく残している。今回、本研究では、中国の書物・思想、およびその日本への伝来・影響を研究対象とする、中国出身者を含む中国学研究者の参加により、『わらんべ草』研究の新たな突破口を開き、同伝書のテクストの典故・出典を中心に、従来の水準を大きく超えた解釈と関連考察を進める。
  特に、『わらんべ草』のテクストの特徴からは、室町時代中期までに中国から伝来した漢籍の影響の可能性と併せて、その後徳川幕府周辺に伝わった中国明(みん)代の版本も参照した可能性が考えられ、注目される。それらについて個々の説の具体的な考察をとおして解明し、同書に見出される学問・思想・文学の由来を、日本中近世の漢文化に関する学問・書物文化の大きな流れの一環として追究する。それにより、大蔵虎明と徳川幕府との関係を含め、江戸初期の幕府とその周辺の社会のネットワークないし学問・教養・情報という視野から、能楽とその社会をあらためて位置付ける。その際、江戸初期に版行された能の謡本や能楽伝書の存在にも注意し、江戸幕府周辺の下掛り系における世阿弥伝書・兵法書の享受の在りようについても、能楽・日本文学研究を行う代表者・分担者の研究実績を土台として考察を進める。
  『わらんべ草』伝本は十種ほどが知られ、大別して、万治三年の大蔵虎明自筆の定稿の系統と、その前段階の内容とされてきた系統があり、未翻刻・未校勘の京都大学文学部図書室蔵『狂言昔語鈔』・宮内庁書陵部蔵『昔語鈔』・鴻山文庫蔵『北七大夫奥書昔語』等も含まれる。今回これらを含め主要伝本を資料として参照し、『わらんべ草』の伝本比較をとおして、先行研究を補う伝本研究および本文整理も行う。上述の漢籍に関する考察は、この資料研究と併行することにより、さらに有意義なものとなるであろう。
  以上のとおり、『わらんべ草』の基礎的な研究を大きく進めるとともに、それをとおして、能楽が歴史上、武家社会と密接な関係をもって存在してきたこと、また能楽の芸や芸道思想も周囲の社会と連動し不可分なものとして展開していることを具体的に明らかにすることが、本研究の目的である。

【研究計画】

・『わらんべ草』諸本の調査および本文整理。本文のデータ化を含む。それに伴う研究史整理、伝本・芸論・文化史に関する考察を進める。
・『わらんべ草』に見える漢籍由来の説に関する注釈的な作業、および関連考察を進める。
・上記2点に関して、各メンバーの研究報告および相互の意見交換のための研究会と研究打合せ、年3~4回を行う。

野上記念法政大学能楽研究所

〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1
TEL 03 (3264) 9815 FAX 03 (3264) 9607



© The Nogami Memorial Noh Theatre Research Institute of Hosei University. All Rights Reserved.

↑