新たな視点による国際・学際的能楽研究
「新たな視点による国際・学際的能楽研究」では、国内外の多分野の研究者との共同研究により、能楽研究の範囲を広げていくことを目標とします。従来とは異なる分野からの参加も積極的に促し、新たな切り口による能楽および能楽界の諸要素の解明と応用をめざします。
◆2020年度
・英語版能楽全書の刊行に向けての国際共同研究
内外の研究者約40名による国際協働プロジェクトの最終段階として、『英語版能楽全書』(序:総説。1:能楽の演技・演出。2:能の歴史。3:現代の能楽を成り立たせているシステム。4:能の文化・能と文化。5:能の受容。6:作者研究。7:能楽伝書と評論。8:能楽のマテリアルカルチャー。9:狂言。付:用語リスト・参考文献リスト等)の刊行をめざし、原稿の補訂および編集作業を進めていましたが、コロナ禍の中、資料の最終確認や掲載画像の選定などが予定通り進められず、また編集メンバーの入院や家族の感染などの事例もあり、完成にいたりませんでした。刊行に合わせておこなう予定のシンポジウムも延期となりました。ただし、各セクションの研究自体は深化し、編集作業も継続中です。一部はウェブ上での試験公開(公開範囲限定)をおこないました。
◆2019年度
・英語版能楽全書の刊行に向けての共同研究
内外の研究者約40名による国際共同研究を進めました。「文化史的視点の導入による能楽史の再編制」と「比較演劇的観点による能楽の分析」を二本の柱とし、能楽論や作品の分析、歴史的過渡期(戦国期・明治維新・軍国主義の時代等)の能楽のあり方、能楽の宗教的背景等、資料に基づく従来型の研究を強力に進めるとともに、現代の能楽の経済基盤や人材育成、素人の問題、近現代の知識階級と能楽の関係、能楽に関わるマテリアル研究等、多くの新しい問題にも取り組みました。
2019年度はその成果としての『英語版能楽全書』(序:総説。1能楽の演技・演出。2能の歴史。3現代の能楽を成り立たせているシステム。4能の文化・能と文化。5能の受容。6作者研究。7能楽伝書と評論。8能楽のマテリアルカルチャー。9狂言。付:用語リスト・参考文献リスト等)の英語原稿がほぼ完成し、編集段階に入りました。