「能楽意匠」の研究―基本と変容の検証―(2022年度より継続)
- 研究代表者:門脇幸恵(女子美術大学芸術学部工芸学科非常勤講師)
- 研究分担者:永田智世(根津美術館学芸員)
- 研究協力者:宮本圭造(法政大学能楽研究所教授)
- 研究協力者:池田芙美(サントリー美術館主任学芸員)
- 研究協力者:原田一敏(ふくやま美術館館長)
- 研究協力者:Khanh Trinh(Museum Rietberg、Curator)
【研究目的】
本研究は「能楽意匠」の指標を作成することを目的とする。
従来の美術史研究における「能楽意匠」の定義は極めて曖昧で能の内容との乖離を感じるものもある。能は本説世界のみならず、歌枕や漢詩、神道・仏教、さらには東山御物に象徴される「唐物」の世界観などを広範に吸収しているため、他ジャンルの研究者には極めて難解とされる。従って各部門研究において能に造詣が深いと考えられている先達が示した「能楽意匠」をそのまま踏襲していることが多く、能の内容と乖離しているものも多い。そうした現状に鑑み、本研究では主に刊記年の明らかな版本謡本の挿絵や表紙絵にある意匠を曲ごとに編年で整理する。また、年紀や文献により制作年が特定される、若しくは技法等により制作年代がほぼ確定できる工芸(絵画)作品に表された意匠を能楽文献にある画像と比較検証し、能楽意匠の需要と変容の流れを読み解き、画像による指標を作成する。そして、いずれデータベースとして能楽振興の一助となることを目指すものである。