文献資料に基づく能楽の学際的研究
「文献資料に基づく能楽の学際的研究」では、能楽研究の基礎強化と新たな学術的領域の開拓をめざして、所蔵する文献資料を公開・提供し、資料に基づく共同研究をおこないます。
◆2023年度
・金春家旧伝文書デジタルアーカイブの拡充
般若窟文庫蔵の謡本188点、金春宗家蔵の型付200点の目録データ、画像データを追加した。
・能楽資料総合デジタルアーカイブの拡充
古典籍215件の目録データ、画像データを追加した。
・近代能楽雑誌データベースの拡充
上記「能楽資料総合デジタルアーカイブ」の中に組み込み、昭和期の能楽雑誌『謡曲界』195冊の目次情報と画像データを新たにアップした。
・能楽研究所所蔵能楽資料目録の作成
能楽研究所が所蔵する全ての古典籍(文庫分を除く)約2000点の資料目録と書誌解題を、研究所の専任所員・兼任所員・兼担所員で分担して、継続作成中。令和6年度中の上記「能楽資料総合デジタルアーカイブ」へのアップを予定している。
・「Noh and Kyogen Rare Materials Digital Collections」を新たに構築
当初の計画に加えて、英語版の能楽貴重資料デジタルアーカイブ「Noh and Kyogen Rare Materials Digital Collections」を新たに構築し、能楽資料の分野別の詳細な英文解説に加えて、54件の資料の画像データ、4件の目録データをアップした。
◆2022年度
・金春家旧伝文書デジタルアーカイブの拡充
金春家旧伝文書デジタルアーカイブを全面的にリニューアルし、能楽研究所蔵金春家旧伝文書だけでなく、金春家に現存する金春宗家文書をも加えた「金春家文書デジタルアーカイブ」を新たに立ち上げた。また、令和4年度中に能楽研究所般若窟文庫蔵の金春家旧伝文書60点、金春宗家文書のうち謡本160点のデータをアーカイブに追加した。
・能楽資料総合デジタルアーカイブの新規構築
既存の能楽資料デジタルアーカイブ(検索機能は装備なし)とは別に、能楽研究所が所蔵する古典籍・近代能楽雑誌の横断検索と画像閲覧が可能なサイト「能楽資料総合デジタルアーカイブ」を新たに構築した。当初は古典籍のデジタルアーカイブと近代能楽雑誌のデータベースをそれぞれ作成する予定であったが、サイトの運営方法や利用者の利便性などを考慮した結果、両サイトを統合し、古典籍・近代能楽雑誌をまたがった検索が可能なサイトとする方針を定め、作業を行った。古典籍については2313点のデータ、近代能楽雑誌については『謡曲界』『国諷』計214冊のデータをアーカイブに追加。現在最終的なデータのチェックを行っているところであり、令和5年7月中の公開を予定している。
・能楽研究所所蔵能楽資料目録の作成
能楽研究所が所蔵する全ての古典籍(文庫分を除く)約2000点の資料目録と書誌解題の作成を、研究所の専任所員・兼任所員・兼担所員で分担して行った。令和5年度中の完成、令和6年度中の上記「能楽資料総合デジタルアーカイブ」へのアップを予定している。
◆2021年度
・能楽資料叢書 7 『近世諸藩能役者由緒書集成 下 』 の刊行
全国各地に散在する諸藩お抱えの能役者の由緒書・系譜を収集・翻刻した資料集。令和元(2019)年度刊行の上巻、令和2(2020)年度刊行の中巻に続き、本巻で完結。上・中・下巻合わせた総ページ数は1460ページ。
・デジタルアーカイブの拡充
「金春家旧伝 文書デジタルアーカイブ」 の総合版 公開に向けた資料調査と解題執筆を進めたほか、能楽貴重資料データベースに新資料の画像データを公開するための調査とデータ処理作業をおこなった。
◆2020年度
・『近世諸藩能役者由緒書集成』(中)の刊行
2018年度刊行上巻の続きを一冊で刊行予定でしたが、調査が進んだ結果、資料が膨大な量になったため、2020年度には中巻のみを刊行しました。
・能楽資料デジタルアーカイブの拡充
能楽資料デジタルアーカイブに「和泉流明和中根本」「大蔵流虎清間・風流伝書」「戦国期(永禄頃)囃子伝書」「新九郎流小鼓習事伝書」等、新たに49点のデジタル撮影を完了し公開しました。
・国立能楽堂との協働で、特別展「勧進能」を実施、共同研究・調査の成果を図録等の解説で公開しました。
◆2019年度
・能楽資料デジタルアーカイブの拡充
長らく所在不明になっており、一昨年再発見された貴重な狂言関係資料『名女川本狂言台本・伝書』および法政大学鴻山文庫蔵『名女川家番組留帳』のデジタル撮影を完了し、全冊を能楽資料デジタルアーカイブで公開しました。
・能楽資料叢書『近世諸藩能役者由緒書集成』下の編集
全国各地の図書館・文書館等所蔵の能役者由緒書を網羅的に収集し、翻刻・集成した資料集下巻の編集をおこないました。当初の予定より情報量が大幅に増え、下巻だけで上巻の460頁を大きく超過する840頁となり、原稿はほぼ完成したものの、新型コロナウィルスの流行による図書館・文書館の臨時閉館のため、編集の最終段階における資料のチェックがおこなえず、下巻の刊行は次年度に送られることになりました。